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映画レビュー『か「」く「」し「」ご「」と「』|“見えるからこそ、見えなくなる”高校生たちの心の物語

か「」く「」し「」ご「」と「』(2025年5月30日公開)は、「君の膵臓をたべたい」などで知られる作家・住野よる氏の人気小説を映画化しています。

「人の気持ちが、少しだけ見える力」があったなら——
それは果たして、幸せを運んでくれるのでしょうか?
それとも、余計な不安や疑念を生んでしまうのでしょうか?

映画『かくしごと』は、そんな問いを観る者に静かに投げかける、繊細な青春群像劇です。

🎬 映画の詳細情報

  • 公開日:2025年5月30日
  • 原作:住野よる『か「」く「」し「」ご「」と「』
  • 監督・脚本:中川駿
  • 出演:奥平大兼、出口夏希、佐野晶哉(Aぇ! group)、菊池日菜子、早瀬憩
  • 主題歌:ちゃんみな「I hate this love song」

■物語のあらすじ

舞台はごく普通の高校。
主人公を含めた5人の高校生たちは、それぞれが「少しだけ他人の気持ちが見える」という、微妙で絶妙な“チカラ”を持っています。

この力によって、5人は互いの心の輪郭をなんとなく掴みながらも、核心には触れられないまま、曖昧な距離感の中で関係性を保っています。

恋愛感情、友情、嫉妬、遠慮、すれ違い…。
彼らは“見えてしまうがゆえ”に、気持ちを素直に伝えられず、逆に深く悩み、言葉を飲み込み、関係を保とうともがきます。


■この映画が描く“青春”のリアル

この作品の最大の魅力は、**“心の機微のリアリティ”**です。

超能力もの、SFもの、と聞くと派手な展開を想像するかもしれませんが、不思議な力は、あくまでも前提条件のひとつであり、本作はあくまで静かに、そして繊細に人間関係の綻びや繋がりを描いています。

  • 「伝えたら壊れそうで、何も言えない」
  • 「わかっているはずなのに、気持ちがすれ違う」
  • 「本当はもっと近づきたいのに、距離がこわい」

そういった青春の“あの頃”の息苦しさ、甘酸っぱさ、そして焦がれるような想いを、観る人の心にそっと呼び起こしてくれます。

まるで、自分の高校時代をもう一度覗き込むような、不思議な既視感に包まれるはずです。


■“気持ちが見える”ことは、本当に幸せか?

この映画の最大の問いは、「他人の気持ちが見える力」は本当に人を幸せにするのか?という点にあると思います。

筆者はこの映画を通して、「たとえ相手の気持ちがある程度わかったとしても、それだけでは人と本当に分かり合えない」というメッセージを感じ取りました。

だからこそ必要なのは、

  • 勇気を出して、自分の言葉で想いを伝えること
  • 見えているものに頼らず、相手の言葉を信じること
  • そして、見えない不安すらも一緒に抱えていける関係性を築くこと

なのだと、この作品は静かに教えてくれます。


■おすすめしたい人はこんな方

この映画は以下のような人に、特におすすめです:

  • 誰かとの関係で、気持ちの伝え方に悩んでいる人
  • 過去の友情や恋愛に「言えなかった想い」がある人
  • 青春時代の記憶を、もう一度やさしく思い出したい人
  • 人間関係に少し疲れて、心を整理したい人

観終わったあと、静かな余韻とともに、「大切な誰かとちゃんと話してみたくなる」そんな気持ちになる映画です。


■最後に:見えているのは“心”ではなく、“勇気”の在り処かもしれない

『か「」く「」し「」ご「」と「』は、SF設定をほんの少し加えたことで、人間関係の繊細な輪郭を、より浮き彫りにした作品です。

「見えることがすべてじゃない」
「想いは、言葉にしなければ届かない」

そんなメッセージを、5人の高校生たちは、不器用なまま体現していきます。
観る側の私たちは、彼らの姿に自分自身を重ねながら、忘れていた“誰かと本音で向き合う勇気”を思い出させてもらえると思います。

迷い、ためらい、すれ違い、それでも心をつなぎたい——
そんな葛藤とともに、青春のほろ苦い“光”をもう一度感じたい人へ。
『か「」く「」し「」ご「」と「』は、あなたの心にも静かに響く一作です。

🌟 印象的なシーン

1. 図書室での静かなひととき

主人公・京(奥平大兼)が図書室で勉強中に眠ってしまい、ミッキー(出口夏希)がそっと彼を見守るシーン。静寂の中に漂う淡い感情が印象的です。

2. 夏の海辺での花火

夜の海辺で、ヅカ(佐野晶哉)とエル(早瀬憩)が花火を楽しむシーン。青春の一瞬を切り取ったような、美しい場面です。

3. 修学旅行の女子部屋

修学旅行中の女子部屋で、パラ(菊池日菜子)やエルたちが雑魚寝をしながら語り合うシーン。友情と成長を感じさせる場面です。

※映画紹介についての一連の記事はこちらにまとめていますので、是非一読ください。

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