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『ウィキッド 永遠の約束』レビュー|―“悪”と“善”の境界線は、誰が決めるのか

アイキャッチ_ウィキッド永遠の約束

はじめに|「悪い魔女」は、本当に悪なのか?

2026年3月6日公開の映画『ウィキッド 永遠の約束』は、世界的に愛されるミュージカル『ウィキッド』の物語をさらに深く掘り下げた続編的作品である。

本作は、単なるファンタジーではない。
それは「物語の裏側」を描くことで、観客の価値観そのものに揺さぶりをかける作品だ。

誰が善で、誰が悪なのか。
その基準は本当に絶対なのか。

古典『オズの魔法使い』では、単純に“悪い魔女”として描かれていた存在――エルファバ。
しかし本作では、彼女はむしろ最も人間らしく、そして正義に近い存在として描かれる。

一方で、“善い魔女”グリンダは、光の象徴でありながら、その裏で葛藤と矛盾を抱えていく。

本作は、善悪の定義を問い直す物語であり、
同時に「生き方」を選び取る人間の物語でもある。


🎬 映画情報

  • 作品名:ウィキッド 永遠の約束
  • 公開日:2026年3月6日
  • 監督:ジョン・M・チュウ
  • 原作:グレゴリー・マグワイア
  • 脚本:ウィニー・ホルツマン/デイナ・フォックス

キャスト

  • エルファバ:シンシア・エリボ
  • グリンダ:アリアナ・グランデ
  • フィエロ:ジョナサン・ベイリー
  • ボック:イーサン・スレイター
  • ネッサローズ:マリッサ・ボーディ
  • マダム・モリブル:ミシェル・ヨー
  • オズの魔法使い:ジェフ・ゴールドブラム

世界最高峰のキャストと音楽陣が集結し、壮大なミュージカル体験を完成させている。


あらすじ

youtube ユニバーサル・ピクチャーズ公式 より引用

オズの国の真実を知ったエルファバとグリンダは、それぞれ別の道を歩み始める。

“悪い魔女”として追われるエルファバは、言葉を奪われた動物たちのために戦い続ける。
一方、“善い魔女”として称賛されるグリンダは、希望の象徴として民衆に迎えられるが、心の奥には深い孤独を抱えていた。

かつて親友だった二人。
しかし立場の違いは、二人を引き裂いていく。

そんな中、オズの国に現れた「カンザスから来た少女」。
彼女の存在が、すべての運命を動かすことになる。

再び交差する二人の道。
それは和解か、それとも決別か。

\映画「ウィキッド 永遠の約束」公式ホームページも是非参照ください/
映画『ウィキッド 永遠の約束』公式サイト

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感想

1.“悪役”という概念の再定義――エルファバという存在

本作の核心は、「悪役とは何か」という問いにある。

エルファバは、古典『オズの魔法使い』においては明確な悪役だった。
しかし本作では、その前提が根底から覆される。

彼女は決して悪ではない。
むしろ、誰よりも誠実で、誰よりも他者のために行動している。

それでも彼女は“悪”として扱われる。

なぜか。

それは、社会にとって都合が悪い存在だからだ。

この構図は非常に現実的である。
歴史を振り返れば、正しいことをした者が排除され、
体制に従った者が“正義”とされるケースは数多く存在する。

エルファバは、その象徴だ。

ディズニー作品『マレフィセント』と同様に、
本作もまた“悪役の再解釈”という文脈にあるが、
その中でも特に優れているのは、単なる同情では終わらない点だ。

エルファバは悲劇のヒロインではない。
彼女は、自分の意思で戦い、自分の意思で生きる。

その選択こそが、彼女を“悪役”にしてしまった。

この逆説的構造が、本作に圧倒的な深みを与えている。


2.ドロシーの裏側――「物語の再構築」という快感

本作のもう一つの大きな魅力は、
古典『オズの魔法使い』の裏側が描かれる点にある。

観客はすでに知っている物語を、
全く異なる視点で再体験することになる。

例えば、

・竜巻で飛ばされてきた家に潰された魔女
・心を失った木こりの誕生
・臆病なライオンの背景

これらが断片的に描かれることで、
“あの物語の裏では何が起こっていたのか”が見えてくる。

そして最大の見どころは、
エルファバが“倒される”シーンだ。

あれは敗北ではない。
彼女自身が選んだ“演技”である。

ここに、本作のすべてが凝縮されている。

彼女は戦うこともできた。
勝つこともできた。

それでも彼女は、
物語を終わらせるために“悪役を演じた”。

そしてその後、彼女はすべてを捨てる。

魔法も、名声も、力も。

残るのは、ただ一人の人間としての人生だ。

この選択は非常に象徴的だ。

“力を持つこと”ではなく、
“どう生きるか”を選んだ瞬間。

それこそが、エルファバの誇りであり、尊厳である。


3.グリンダという“光”の裏側

一方で、本作で最も苦しい立場にあるのは、グリンダかもしれない。

彼女は、誰よりも魔法使いになりたかった。
しかし現実には、魔法の才能はほとんどない。

それでも彼女は、“善い魔女”として祭り上げられていく。

最初は、その状況に満足していた。
承認欲求が満たされ、人気者となり、理想の自分に近づいたように見えた。

だがそれは、あくまで“偶像”だった。

次第に彼女は気づく。

自分が象徴として利用されていること。
そして、その裏で親友を追い詰めていることに。

ここでの葛藤は非常にリアルだ。

人は、正しいと分かっていても、
すぐにそれを選べるわけではない。

立場、環境、周囲の期待。
それらが絡み合い、人を縛る。

グリンダは、その象徴だ。

しかし最終的に彼女は、自分で選ぶ。

親友を取るか、地位を取るか。

そして彼女は、“人としての選択”をする。

ただし彼女は、完全に偶像を捨てることはしない。

そこがリアルだ。

彼女は善い魔女であり続ける。
しかしその中身は、確実に変わっている。

そして最後に、彼女は魔導書を託される。

これは単なる力の継承ではない。

“責任”の継承である。

彼女は魔法使いではなかった。
しかし彼女には、人を導く力があった。

それこそが、彼女の“魔法”なのだ。


総評|これは“善と悪”を超えた物語

『ウィキッド 永遠の約束』は、
単なるミュージカル映画ではない。

それは、

  • 善悪の再定義
  • 人間関係の本質
  • 自分の生き方の選択

を描いた作品である。

特におすすめしたいのは、

  • 『オズの魔法使い』を知っている人
  • 人間ドラマが好きな人
  • “悪役”に共感したことがある人

観終わった後、
きっとこう思うはずだ。

「本当に悪いのは誰だったのか?」と。

※映画紹介についての一連の記事はこちらにまとめていますので、是非一読ください。

ABOUT ME
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昭和53年生まれ大阪出身。45歳で婚活開始し、24歳年下女性と結婚を前提に交際しています。その他、仕事についても20年以上務めた会社を退職、新たに士業への転身を行いチャレンジを続けています。同輩にとって益のある最新情報をお届けすべく、日々奮闘中です。趣味は映画と旅行。
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